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資産を現金の形で持て余している高齢者などにピッタリの節税対策として、タワーマンションへの投資がすすめられることがあります。
タワーマンションに投資すると具体的にどんな節税効果があるのでしょうか。投資リスクや、投資する本当の価値まで含めて解説します。
タワーマンションは相続税対策になる
現金を不動産に換えると、相続財産としての評価額が下がります。また、土地として持っているよりも建物を建てている方が評価額を下げられ、さらに賃貸に出せば、評価額はもっと下がることになります。
評価額が下がれば、相続税の対象額が抑えられることになります。これが賃貸物件による節税対策の基本的な仕組みです。
また、一般に土地の評価額よりも建物の評価額のほうが減額率は大きくなるため、同価格のマンションであれば、占有する土地が狭いほうが節税効果は高くなります。タワーマンションは敷地面積に対して戸数がかなり多い建築物です。
一戸当たりの土地面積が小さいため、建物比率が相対して高くなり、低層マンションやアパートより効果的に節税できるのです。
相続税は2015年の改正以降、いわゆる富裕層でなくても資産の形や相続人の構成によっては納税対象となる人が増えました。土地と建物を合わせた評価額が最大で80%も減額される可能性のあるタワーマンションは、節税になるうえ長期的に家賃が入ります。
つまり「買っておけば安心」な、賢い買い物といえるでしょう。
税制改正後はタワーマンション高層階の税率が微増
現行の税制では土地と建物の評価額が何階にあっても変わらないため、高額な高層階を買うほど節税対策になると言われてきました。ただ、節税対策での購入が目立つようになったため、2016年後半には政府がタワーマンション高層階への増税案を打ち出しています。
同年12月に出た「平成29年度税制改正大綱」では、高さが60メートルを超える居住用超高層建築物について、階が1階増すごとに固定資産税・都市計画税・不動産取得税の税率を約0.26%ずつ上げるとされています。高さ60メートルを超えるということは、おおむね20階建て以上のタワーマンションが対象になるということです。
ほか天井の高さや付帯設備の程度により補正がありますが、この程度の増税であれば、タワーマンション購入をやめる理由にならないと考える専門家がほとんどです。
例えば、40階に住めば1階よりも約10%ほど税率がアップしますが、上層階と下層階の販売価格の開きはときに1.5倍にもなります。購入金額の差から考えれば、まさに微増といえるでしょう。
タワーマンションへの投資リスクとは
相続税に悩む高齢者にとっては「一室買っておけば安心」なタワーマンションですが、当然ながら投資リスクも抱えることになります。それは空き室リスクと資産価値の下落、そしていずれ来るマンションの老朽化への対応の難しさです。
賃貸として貸し出せているうちは安心ですが、空き室になれば当然家賃収入はありません。手早く売ってしまおうと思っても、そのときにはタワーマンションブームが過ぎ、資産価値が大幅に下落している可能性があります。
ずっと空き室を抱えるくらいなら自分で住んだほうがよいと、引っ越したとしましょう。しかし、当然そのようなタワーマンションでは、他にも空き室が目立つはずです。
共用部分の付帯設備が故障してしまったときや、老朽化の建て替えを検討するとき、修繕積立金が集まらずなかなか直せないということになりかねません。
それでもタワーマンションに投資する価値とは
将来の投資リスクを考えると、節税のための買い物が大きな負の遺産となってしまうかもしれないことがわかるでしょう。しかし、リスクを知っておけば、防ぐこともまた可能です。
「節税だから」とマンションそのものをあまり検討することなく購入すれば、将来のリスク危険度は高くなってしまいます。
長く家賃収入を得られるタワーマンションを選ぶコツは、節税の目だけで見るのではなく、きちんと投資対象としてタワーマンションを捉えることです。
利便性が高く、そこに住むことがステイタスとなるような人気エリアにあるかどうか、また景観の良さなど総合的に判断して、合格点を出せるタワーマンションに投資しましょう。
おわりに
タワーマンションへの投資は、不動産投資のなかでも簡単に資産評価額を抑えられる方法です。節税にもってこいではありますが、投資リスクもきちんと理解してマンションを選びましょう。
なお、税制改正により税率が微増となるのは、平成30年度から新たに課税対象となるタワーマンションです。すでに不動産を購入している人は、対象外となります。
最終更新日:2017-03-03