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一度購入すると数十年に渡り住むことになる住宅は、ほとんどの人ができるだけ長く綺麗に維持したいと考えることでしょう。一方で、自宅のメンテナンスに積極的な人はそう多くありません。あるがままに経年劣化していくことを受け入れており、住めば住むほど物件としての価値は下がっていくと考えている人がほとんどです。
しかし、これは先進国においては珍しい考えで、日本以外の多くの国は自宅を大事にメンテナンスし、むしろ価値を上げていくものであるという考えが一般的に広まっています。この記事では、このような価値観の違いから生じる住宅の寿命について解説し、メンテナンスの重要性についても考えていきます。
日本の住宅の平均寿命
日本の住宅の平均寿命は2005年時の調査において、木造住宅で54年、コンクリートなどのRC造で45年程度という結果がでました。1997年時点の平均寿命ではともに42年程度であったことから考えれば、年々寿命は延びていると考えていいでしょう。
また、RC造のほうが平均寿命が短いことに驚きますが、これは人為的、自然的な理由を問わず取り壊されるまでの期間であることに注意です。つまり、あくまで取り壊された時点の寿命であり、人が住んでいるかいないかはここでは問われません。
では、日本の住宅の平均寿命は、他の先進国と比べて、どの程度長いのでしょうか。
日本の住宅は寿命が短い?
ある調査ではアメリカの住宅の平均寿命は100年前後、イギリスではさらに長いとされています。日本の住宅の寿命と比べると2倍以上もの差があることになりますね。
どうしてここまで住宅の寿命に差が生まれるのかにおいては、気候や風土、また政策の違いももちろんその理由として考えられますが、日本人と欧米人には住宅の寿命に関わる決定的な価値観の違いがあるのです。
欧米では住宅のメンテナンスは自分で行うのが一般的
欧米はDIYの考え方が強く染みついた国です。DIYとは「Do It Yoursef」の略で、自分でできることは自分で行おうという考え方です。これは住宅のメンテナンスであっても同じで、彼らは壁紙の張り替えや塗装、消耗した部分の修理や補強を当たり前のように自分で行います。
よくアメリカのホームドラマで休日に父親が日曜大工をしているシーンがありますよね?あれは欧米人のイメージを表しているだけではなく、日常的に行われていることなのです。
欧米人は、住宅とは購入後も価値が上がるものであると考えています。丁寧にメンテナンスを行うことで、購入時にはなかった付加価値をつけることができると考えているのですね。そしてこのような考え方、メンテナンスの習慣が住宅の寿命を伸ばしていると言えるでしょう。
日本では住宅を自分でメンテナンスする習慣がない
欧米人に比べて、日本人にはこういった習慣がほとんどありません。車やバイクに熱中していじる人は少なからずいますが、自宅にこだわってメンテナンスする人は不思議と見かけません。簡単な修繕の必要ができた場合にもプロの職人に依頼することがほとんどです。これが必ずしも悪いことであるとは言えませんが、日本人と欧米人の価値観の違いを端的に表していると言えるでしょう。
日本はメンテナンスするための道具がないのでは?と考える人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。ホームセンターに行けばDIYに必要な道具は一通り揃いますし、そのホームセンターも多くの地域で出店しています。
やはり環境が悪いのではなく、日本人は住宅に対するメンテナンスの意識が薄いのだと言えそうです。
メンテナンスをすれば寿命は本当に延びる?
ただ、日本において住宅のメンテナンスをすれば必ず住宅の寿命は延びるのか?と考えてみると100%そうとは言いきれません。日本の建物の最期は人為的な取り壊しによるものがほとんどです。そしてこれには日本の制度や政策が大きく関わっており、住めなくなったから取り壊した、というケースはあまりないのです。
ですから、メンテナンス=寿命の延長とは必ずしもなりませんが、物件の価値を維持する、という面においては住宅のメンテナンスはとても効果的です。大事に丁寧にメンテナンスを行っていけば、数十年住んだ後、誰かに売り渡す際に予想より大きな値段がつくこともあるかもしれません。
おわりに
最近では日本においてもDIYの考え方が浸透してきており、実際にいろいろなものを自作したり、修理したりする人が増えてきました。
もし興味が湧いたという方は、この機会にぜひ自宅のDIYにチャレンジしてみましょう。
最終更新日:2016-12-28