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限られた敷地で部屋数を確保しようとすると、上へと積み上げていくしかありません。一般的な一戸建てでも3階まである家は、珍しくなくなりました。それでも2階建ての人気は根強く、最近は3階建てを減築する傾向があるようです。
2階建てから3階建て…そして2階建てへ
建築技術の発達とともに3階建ての家もさほど珍しくなくなりましたが、その高さを見るとやはり「大きい家だな」と感じられます。
3階建てが増えたワケ
日本家屋の多くは、木造建築です。そうした理由もあって一戸建てに3階建てが登場したのは、35年ほど前とそれほど古い話ではありません。
建築技術の進歩とともに法律の改正が行われ、また厳しい基準が加えられるにつれて3階建ての安全性も強化されていきます。施工基準の内容を見ると、3階建ては2階建てよりも構造や骨組み、壁、材質まで詳細な条件が定められています。こうした背景を受けて、狭い土地を最大限に利用したいというニーズにより、3階建てが増えていったのです。
減築リフォームは増加傾向
かつてはリフォームといえば、「増改築」という印象が強かったのですが、ここ10年ほどでそのイメージも大きく変わってきています。
今は元の家をベースに規模を縮小する、「減築リフォーム」が急激に増加する傾向が見られます。家族の単位が少人数化し、数世代で住むことが少なくなっている現代では、減った人数や住む人の年代に合う「手ごろな家」が好まれるようになっています。
高齢夫婦2人世帯の割合が増えるにつれて、階段を必要としない平屋への改築を望むのは当然といえるのかもしれません。同様に、3階建ての家も最上階がほとんど使われなくなったり、次第に3階まで上がるのが億劫に感じられたりということは考えられます。家族の人数が減れば、それだけ暮らしもコンパクトになっていきます。
2階建てで老後も暮らしやすく
「老後は平屋が快適」というイメージを持たれがちですが、実際2階建て以上に暮らしている方々が多いのが現実です。
2階建てのメリット
2階建てにもさまざまなメリットがあります。今回は主なものを見ていきましょう。
敷地を広く使える
一戸建ての魅力のひとつに、庭があります。たとえ小さくても花壇や家庭菜園に使える庭が欲しい、という声は良く聞かれます。2階建てにすれば、敷地に対する建坪を小さくでき、その分庭を広くできます。ムダなく敷地を活用しようとすれば、平屋よりも2階建てが有利です。
日当たりを確保できる
立地条件によっては、隣家の陰になって1階部分にあまり日が当たらないということもあります。2階建てにすることで日当たりの良い部屋ができたり、洗濯物を干すスペースが確保されたりします。
居住スペースを広げられる
当たり前のことですが、2階建てにすればそれだけ部屋数が増やせます。例えば車庫スペースを敷地内に取るのが難しいときには、1階にインナーガレージを設置して2階を居室にするということもできます。敷地を効率良く利用でき、居住スペースに余裕を持たせられます。
デザインのバリエーションが広がる
2階建てだからといって、必ず「階段」が必要になるわけではありません。吹き抜けにして、ゆったりとした段差の中二階とすることも可能です。
内部だけのリフォームで、使わなくなった2階の部屋を低い段差で上り下りができる収納スペースに改装するといったことも可能です。平屋よりもレイアウトのバリエーションを広げられ、住む人の年代に合わせた部屋の配置ができます。
3階建て…広さ確保が逆に不便なワケ
3階建ては土地効率の面からいえば、2階建てよりさらに有利に感じますが実際に住むとなると、不便な点の方が多いようです。
生活動線
家で必要な機能を考えると、キッチンやバス・トイレなどの水回り、リビング、寝室・書斎などがあります。3階建ての場合、これらを各階に振り分けることになりますが、家事を行うときや日常生活の中で1階から3階までを行き来するということがひんぱんに起こり得ます。
2階建てでもベランダで洗濯物を干す家はありますが、3階となるとかなりの負担です。3階の自分の部屋から降りてきてお風呂に入ろうとしたら、忘れ物に気付いた、となるとまた3階に戻らなければなりません。良い運動にはなりますが、生活動線といった観点からは好ましいとはいえません。
物の移動
新しい家具や電化製品を購入したとき、1階であれば問題ありませんが、3階まで運ぶとなると相当の手間となります。3階の寝室のベッドを買い替えた、勉強机を入れるなど、2階程度であればベランダから入れることもできますが、3階となると危険性が増します。
3階までの階段が直線であることは、滅多にありません。曲がりくねった階段を持ち上げるのも大変な作業です。
光熱費
2階建てでも言えることですが、空間が分断されるとそれだけ暖房効率が悪くなります。3階建ての場合では、3つのフロアの空調をそれぞれ行う必要があるため、さらに光熱費が高額化することは避けられません。
上階への移動
年齢を重ねると、3階までの上り下りが厳しくなります。最上階まで行く機会が少なくなると、災害による破損などに気付かず、家全体の劣化を招きかねません。
おわりに
一戸建てを建てようとする際に、できるだけ土地を効率的に利用しようとすれば、3階建てという選択肢も出てきます。しかし実際3階建てにしてみて、意外に後悔する声も多いようです。家族の人数が減っていく将来まで考慮すれば、2階建てまでで留めておいた方が良いかもしれません。3階建てを選択するときには、そのデメリットをよく理解した上での検討が必要です。
最終更新日:2019-06-14