おすすめPickUP!
「空調」のもとのことばは、「空気調和」です。温度や湿度以外にも、空気の流れや汚れまで考慮し、快適な居住空間の実現を目指すためのシステムとして設計されています。現代の空調では、さらに省エネという点が重要となります。家庭用の空調もその種類はさまざまです。
代表する空調システムについて
建物の規模や構造によって、最適とされる空調システムが異なります。ここでは代表的な3つの空調システムを紹介します。
氷蓄熱式空調システム
「蓄熱」は効率的に熱を蓄えておき、必要に応じて放熱するシステムを指します。
氷蓄熱式空調システムは、夜間電気料金が安い時間帯に氷として蓄え、昼間の冷房に利用するしくみです。
冬場は温水を蓄え、暖房に使用して空気を暖めます。氷と温水を使い分けて、必要となるエネルギーを節約しながら空調する方法です。
ひとつのシステムで冷暖房が可能なシステムを、ヒートポンプと呼びます。
デシカント空調システム
デシカント空調システムは、温度と湿度を分離して制御するしくみを採用しています。
従来型の空調システムでは、湿度を下げると温度まで低くなってしまい、再度設定温度まで上げるという方法が採られています。
乾燥剤をコーティングしたローターを用いることで、ムダなエネルギー消費をなくしながら、効率的に空調を行うことができるのが、デシカント空調システムです。
GHP
GHPは、「ガス・ヒートポンプ」の略称です。その名称の通り、コンプレッサーを動かすエネルギーとして、ガスエンジンを使用しています。
コンプレッサーで冷媒を循環させながら、液化と気化をくり返すことで、冷暖房が行われます。
夏場にピークを迎える消費電力を抑え、エネルギー効率の良いガスを利用するので、省エネにつながります。
氷を利用した氷蓄熱空調について詳しく解説
空調システムの中でも、最近特に注目されている氷蓄熱空調「エコ・アイス」について詳しく見ていきましょう。
メリット
氷蓄熱空調「エコ・アイス」は、ダイキン・日立といった大手メーカーが電力会社9社と共同開発した空調システムです。氷蓄熱空調システムには、以下のようなメリットがあります。
グリーン購入法に適用したエコロジー空調
環境面への配慮を促す製品であることを証明した、グリーン購入法の適用対象とされているため、消費者側のエコ意識も高まります。氷蓄熱式空調システムは排熱が少なく、ヒートアイランド現象対策としても期待されます。
夜間電力使用により電力料金を抑える
利用料金が安くなる夜間電力を使用することで、電気代を抑えられます。
冷暖房の立ち上がりが早い
ゼロスタートの空調と比較すると立ち上がりが早く、すぐに冷暖房効果を実感します。
デメリット
一方氷蓄熱空調システムには、以下のようなデメリットもあります。
夜間に利用が多い場所には向かない
氷蓄熱空調では、夜間に氷を作ります。夜間の冷暖房については、効きが悪くなる傾向があるため、夜遅くまで利用したい場所には向きません。
氷蓄熱ユニット設置の初期費用が割高
氷蓄熱ユニットは重量・サイズが大きくなるため、設置場所の基礎工事をしっかりと行う必要があります。またシステム自体も割高であるため、高額な導入コストがかかります。
夜間騒音
システムが夜間を通して稼働するため、作動音が気になる場合があります。大型のシステム設置には近隣への配慮が必要です。
熱を利用した蓄熱暖房機について
蓄熱タイプの空調には、氷蓄熱のほかにも特殊な素材のレンガに熱をためるものもあります。熱を利用した蓄熱暖房機について見ていきましょう。
メリット
蓄熱暖房機には、次のようなメリットがあります。
光熱費を抑えられる
蓄熱暖房機も、氷蓄熱システムと同様に夜間電力を利用します。そのため、昼間の暖房に使う電力を抑えられ電気代を安くすることができます。
常に部屋を暖めておける
蓄熱暖房機の場合、エアコンのようなオン・オフがなくても家全体が24時間温かい状態になります。朝起きたときや帰宅時に、部屋が冷え切っているというようなことがありません。
エアコンより乾燥しない
暖房の性質上まったく乾燥しないというわけではありませんが、温風が吹き出さない分だけエアコンよりも乾燥が抑えられます。
安全性が高い
一般的なストーブのように燃焼部がなく、子どもやペットなどがいても安心です。
耐久性に優れる
また耐久性に優れており、一度設置するとあまりメンテナンスの手間もなく、長く利用できます。
デメリット
一方で蓄熱暖房機には、以下のようなデメリットもあります。
初期コストがかかる
蓄熱暖房機はエアコンよりも機器自体が高額な上、設置にも費用がかかります。導入コストが割高になるのは避けられません。
すぐには温まらない
蓄熱暖房機は電力によって蓄熱材に熱を蓄え、その後放熱をして部屋を暖めます。そのため通常の暖房機のように、短時間で温めることができません。
温度調節がしにくい
蓄熱暖房機は建物全体を温めるのは得意ですが、局所的に温度を上げたり数度単位で調整したりするのが難しいシステムです。場合によってはエアコンなどとの、併用が必要とされることもあります。
システム設置のスペースが必要
蓄熱暖房機はほかの暖房機と比べ、サイズがかなり大型です。さらに冷暖房のためには、もう1台設置しなければならないため、倍の設置スペースが必要となります。
おわりに
空調システムにはさまざまな種類がありますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。最近では夜間電力を使ったり蓄熱による省エネ設計になっていたりするものも多く、上手に選べば、光熱費をかなり軽減できます。ただ冷暖房としては優れていても、設置スペースなどに制限がある場合も考えられるため、導入する際には十分な比較検討が必要です。
最終更新日:2019-05-11