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「うまい話には裏がある」――それはマンション投資においても例外ではありません。マンション投資の成功事例はうらやましくなるほどですが、その背中合わせにある失敗事例にも着目しておきましょう。
投資用マンションを購入するときは注意が必要
投資を考えるとき、候補として多くの方が思い浮かべるのが不動産投資、なかでもマンション経営ではないでしょうか。マンション住宅は利便性のいい場所を選びやすく、設備と賃料のバランスからも賃貸経営のしやすい物件といわれています。
「それならば自分も」とマンション投資を考え、投資用のマンションを探す方も少なくないでしょう。
しかし、自分や家族が住むマンションを選ぶのと異なり、投資用マンションには投資用ならではのチェックポイントがあるものです。そうしたことを考慮せずに気に入ったマンションを購入しても、投資が成功するとは限りません。家賃収入や売却益を見込んで購入したのに、その収入が入らないようでは、ローン返済に追われてしまうことになります。
その資金繰りについても入念な検討が必要です。ローンは多額の借金で、返済までには長い年月を要します。その間、きちんとやりくりできるような計画を立てておかないといけません。
変動金利で借り入れた場合は、将来の金利という不確定要素もあります。多額の資金が動くマンション投資では、収支の見込みを間違えるとその損害は計り知れません。
インターネットや雑誌などでは、マンション投資に関する成功事例を目にすることも多いでしょう。そうした事例を見て投資意欲が高まることもあります。
しかし、マンション投資を成功に導くためには、成功事例よりも、むしろ失敗事例を読み、失敗した理由をしっかりと学んでおくことが大切です。
マンション投資で失敗する人にありがちな5つのパターン
ここからは、マンション投資で残念ながら失敗してしまう場合にありがちなパターンをご紹介します。同じ失敗をしないよう、参考になさってください。
頭金ゼロ、全額ローンでの購入
一般的に、住宅の購入価格の2割程度は頭金として自己資金を用意する必要があるといわれますが、近年は自己資金が少ない方でも物件購入がしやすくなっています。さらに、自己資金がなくても「頭金ゼロ、全額ローン」で不動産を購入することも可能です。
「自己資金の出費なしで始められるなら」とマンション投資を考える方もおられるかもしれません。しかし、ローンは高額な借金です。頭金が少なければ少ないほど、返済に関するリスクは高まることになります。
前述のとおり、ローンは長い時間をかけて返済していかなければなりません。時間が経てば経つほど、マンションは年数がかさみ、老朽化が進むことになります。
築年数の古い物件は賃貸市場においては忌避される傾向があり、購入当初の入居率がずっと続いていくとは考えがたいのが実状です。空き室で家賃収入が途絶えてしまっても、ローンの返済は続きます。
また、マンション投資に使えるローンは変動金利が多く、借り入れ後に金利が上がっていく可能性は十分にあり得ることです。利回りが思ったほど高くならない物件では、収入を返済額が上回ってしまう事態も起こり得えます。
売却益を狙ったマンション購入
ここ数年、都市部を中心にマンションの価格は上昇傾向です。そうした市場動向をみて、マンション物件を安く買って高く売り、その差額を利益として狙うという投資スタイルがあります。
そろそろ30年近く経とうとしているバブル景気のころもそうした売却益狙いの投資が活況を極め、不動産価格は下がらないといった“神話”まで生まれたほどです。
しかし、マンション価格の上昇がいつまで続くかはわかりません。「高く売れるだろう」と見込んで、ちょっと高めの価格で買ってしまったマンションが、それより高額で売却できるという保障はないのです。
マンションの購入にはさまざまな諸費用もついて回ります。多少高く売れたとしても、その手間やコストに見合う収益が得られるとは限らないのです。
関連して、新築物件の購入にも注意が必要です。新築のマンション物件の販売価格には、売り出すための資料制作費といった販促費用が上乗せされています。
しかし、賃貸経営や売却をする際には、物件の価値そのもので判断されることになります。新築物件は賃貸市場でも人気で、多少家賃を上乗せできることもありますが、それがずっと続くわけではない点は留意しておく必要があります。
その地域での需要を見極めない
マンション投資の成功事例や、先にふれたマンション価格の上昇は、大都市圏を中止に起こっている状況です。首都圏でも地域によってはそこまでの需要がないこともありますし、地方のマンションではさらに、その需要は未知数な部分があります。
購入しようとするマンションの位置する地域では、マンションの賃貸需要や売却需要がどの程度あるのか、家賃や販売価格の相場はいくらぐらいなのかといったことは、購入前にきちんと見極めておく必要があるでしょう。
その需要も、需要の理由によっては、将来的に先細りになる可能性も見逃せません。
たとえば、近隣に大学がある地域で学生の賃貸需要を見込んでマンション投資を行うとします。しかし、その大学がキャンパス移転してしまったらどうでしょう。実際、大学が学生を集めようと、都心方向にキャンパス移転する動きがみられています。
工場や企業の事業所なども同様に、閉鎖や移転の可能性が常につきまとっているものです。そうした施設がなくなっても他の理由で需要を維持できるのであれば問題ありません。
しかし、1つの需要に頼ったマンション投資はその需要がなくなった途端、空き室リスクに追われることになってしまいがちです。
高い利回り・家賃をあてこむ
郊外や地方のマンションは販売価格が安いものも多く、「安く買って高く売る」あるいは「安く買って家賃収入で安定収益」と投資効率を高くできる“狙い目”と思われがちです。しかし、利回りの高いところには、必ずといっていいほど、高いリスクもついてまわります。
たとえ価格が安くても、賃貸の入居者や売却時の買い手が見つからなければ、利益は入ってきません。とくに地方では、人口が減少傾向にあるところも少なくなく、そうしたリスクは高まることになります。
空き室の状態が続けば入居者を集めるための広告費がかさみ続けることになりますし、場合によっては家賃を下げざるを得ないということも。
一方、都心で人気のタワーマンションなら高い家賃で貸し出せるだろうと、多少購入費用が増えてもその分高額の家賃を見込めると、人気の高額物件に投資するケースもみられます。しかし、高額の物件は維持費も高額であることが多いものです。
たとえば、天井に埋め込むタイプのエアコンはおしゃれで人気ですが、一般的な壁掛けのエアコンに比べて修理費用が高いものになるでしょう。将来的な大規模修繕も考えなければなりません。
サブリース契約頼りのマンション経営
サブリース契約とは、不動産会社がマンション物件を借り上げて入居者へ転貸する形態の契約です。借り上げ契約とも呼ばれ、オーナーにとっては空き室のリスクや入居者を集めることなどを考えずに済む魅力的な契約となっています。
その代わり、サブリース契約で得られる収入は、入居者と直接契約・賃貸に出す際の家賃と比較すると、どうしても安くなりがちです。仮に2割程度安くなっても「家賃収入が保障されるなら」と考えてしまいそうなところですが、その家賃額が将来も継続されるわけではありません。
借り上げた不動産会社から家賃の減額を迫られることは覚悟しておくべきであり、断れば契約が終了してしまうことも。
最近でも、サブリース契約についてそうした点の説明が十分になされないことによるトラブルは多発しています。サブリース契約で家賃収入が少なくなるうえに、築年数がかさんでから解約されてしまっては、長期的な安定収入に暗雲がさすことになりかねません。
おわりに
マンション投資には「甘い話」がつきものですが、投資を成功に導くためには、購入前にリスクをきちんと見極め、そのリスクに備えておくことがとても重要です。
頭金ゼロで購入できると言われてもある程度自己資金を用意して返済額を減らす、売却益目的での投資には十分注意する、利回りの高さを謳われてもその裏側にある高リスクを見逃さない、サブリース契約以外の賃貸需要があるかどうかを見極める……賢く購入することで、破綻を避けることは十分に可能となります。
最終更新日:2017-07-23