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物件の構造は、投資コストや物件の利点に大きく関わる要素であり、物件を検討する際に考慮すべき項目のひとつです。
しかし、考慮すべき理由はそれだけではありません。構造を比較しながら、その違いを理解しましょう。
建物は構造によって建築コストも法定耐用年数も異なる
物件の情報を見ていて、「RC」「鉄骨」「木造」といった記載を目にしたことがある方は多いでしょう。これは、その建築物の構造を示しています。
「RC」は鉄筋コンクリート造(RC造)、「鉄骨」は鉄骨造(S造)、「木造」は木造(W造)を指し、それぞれ性質が異なっているものです。
もちろん、性質が異なれば建設コストも異なります。不動産投資において投資物件を選ぶうえで、構造の違いは重要なポイントのひとつといえるでしょう。
同じように、構造によって異なるのが法定耐用年数です。一般的に事業を行う場合、何かを購入したときの費用はそのタイミングで計上することになっています。
しかし、高額の資産の場合は1年ですべて計上することはできず、法律で定められた年数で分割して計上することになっています。これが「減価償却」で、「法定耐用年数」はその減価償却を行う年数です。
「耐用年数」というと、その建物がどのぐらいの期間使えるかということを示しているように思われがちですが、不動産物件について「耐用年数」という場合はこの「法定耐用年数」を指すことが多いことは留意しておく必要があります。
そして、不動産投資において、この法定耐用年数は重要な意味をもちます。物件の法定耐用年数が何年か、あとどのぐらい残っているかによって、金融機関の融資の可否や融資額が大きく変わってくるからです。
その観点でも、物件の構造の違いは、投資に大きく影響することになります。
建物の構造
鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋(太い鉄の棒)を編むようにして骨組をつくり、コンクリートを流し込んで建物を形成します。ほかの構造と比べて、遮音性・耐震性・耐火性が最もすぐれているのがRC造の特徴です。
集合住宅でも騒音トラブルの発生リスクをおさえることができ、万一火事が起こってしまってもほかの部屋への延焼を防ぐことができます。
その分、建築コストは高くつき、建築坪単価が木造の倍以上になることもあるので注意してください。改修も容易ではなく、中古で購入してリフォームする場合もコンクリート部分を変更するようなものは難しい場合があるでしょう。
法定耐用年数は、住宅用の場合が47年、事務所用の場合が50年と長期間にわたります。そのため、融資期間や額も広げやすいです。
鉄骨造(S造)
鉄の柱を組んで建物を形成する構造です。鉄の柱の厚みが4mmまでのものは「軽量鉄骨造」、4mm以上のものは「重量鉄骨造」と呼ばれます。
重量鉄骨造では柱の厚みが軽量鉄骨造の倍以上になるものが多く、低層住宅から高層ビルのような大型の建物まで建築可能です。建築コストはRC造より安価で、鉄骨がしなる構造で揺れを吸収するため耐震性にすぐれています。
鉄骨以外の部分は改修が容易なのもメリットであり、法定耐用年数は住宅用で34年です。
軽量鉄骨造は、改修が容易で建築コストも木造に次いで安価というメリットがありますが、遮音性は低めです。不動産情報サイトに掲載される際、重量鉄骨造は「マンション」と表記されますが、軽量鉄骨造は「アパート」と表記されるため、入居者募集時に敬遠されたり家賃をあまり上げられない傾向があります。
法定耐用年数は、柱の厚みが3mm以下の住宅用は19年、3mm超4mm以下の住宅用は27年です。
木造(W造)
木材を使って建物を形成するものです。伝統的な軸組工法や、2×4工法やなどがあります。メリット・デメリットは軽量鉄骨造と似ており、建築コストが最も安価で改修もしやすい一方で、遮音性が低く、家賃も高くすることは難しいです。
ただ、投資コストがおさえられる分、利回りが期待できるというメリットもあります。法定耐用年数は、住宅用の場合22年です。
おわりに
投資対象の物件を選ぶ際にまず重視するのは、投資コスト。
建築物の構造も、まずはコストの観点で検討し、その次にその構造の利点や、そこから得られると考えられる収益という観点で考えることが多いものです。どの構造がいいかということは一概にはいえません。
そして、構造の違いは法定耐用年数の違いにもなり、それは投資に大きく影響する要素です。加えて、中古物件を投資対象として考える場合、法定耐用年数はさらに少なくなります。
そうしたことも総合的に考慮して構造を選ぶ必要があるでしょう。
最終更新日:2017-07-23