おすすめPickUP!
激変する地球環境やエネルギー問題に興味をもち、個人的に再生可能エネルギーの利用を考えている人も増えてきました。すでに戸建住宅の太陽光発電は一般的になりましたが、風力発電についてはまだあまり知られていません。家庭用風力発電は、どの程度の効果が期待できるのでしょうか。
戸建で使用可能な風力発電とは?
風力発電というと高い支柱と大きなプロペラがイメージされますが、もちろん住宅地ではそうした大規模な発電施設の設置は困難です。戸建住宅で風量発電を考える際には、法律に照らし合わせたサイズや規模での設置が求められます。
建築基準法の定めでは、支柱が15m以上の場合には建築確認が必要です。また一般的な住宅地では、プロペラの先端が60m以上になると航空法の適用対象となるため、設置できません。
20KW未満は届出不要
風力発電システム自体は、20KW未満の場合には届け出は不要です。家庭用の小型風力発電機は一般的には1500Wまでが多く普及しているため、家庭用として販売されているものであれば導入は難しくないといえます。価格的にも50万円以下で手に入るため、省エネに向けた投資としても太陽光発電のようにはハードルが高くありません。
やさしい風でも発電は可能!
比較的導入が容易な家庭用風力発電ですが、設置に問題はないのでしょうか。また実際には、どの程度の効果が得られるのでしょうか。
家庭用風力発電機について
家庭用風力発電機は法的な基準を満たしていれば、基本的には自宅の敷地内のどこにでも設置できます。自宅の庭や屋上など、特に基礎工事などを必要としない製品がほとんどです。
ただ閑静な住宅地の場合、プロペラの作動音は気にならなくても風を切る音が気になることがあります。
騒音や振動について、近隣から苦情が寄せられる例もあるようです。一般的に危惧されている低周波音については心配ないといわれますが、状況によっては設置場所の変更を迫られることも想定されます。
家庭用風力発電機の収益
気になる収益ですが、設置する風力発電機の出力数によって変わるため、どの程度の効果があるのかは一概にいえません。
ここでは1500Wの風力発電で、発電効率を30%、24時間稼働した場合の例を考えてみましょう。
1500W×24時間×0.3 = 10800W
24時間継続して風があるとは考えにくいですが、この例のままであれば1日の発電量は10800W、ひと月では324000Wになります。
小型の風力発電では、買取価格が55円/kWhと高額です。順調にいけば一か月あたり、17,828円の収益が上がることになります。
もちろん発電効率は気象条件やエリアによって、大きく左右されます。
しかし土地代などを支払う必要がない戸建住宅に設置する場合、導入にかかるコストと手間の少なさを考慮すると、それほど割のわるい投資ではないと考えられます。
風力発電のメリット・デメリットについて
風力発電は自然がもたらす力を利用し、エネルギーに変える理想的な省エネ方法に思えますが、マイナスの面もあるようです。風力発電のメリットとデメリットを見ていきましょう。
風力発電のメリット
風力発電のメリットには、以下のようなものがあります。
設置が比較的容易
太陽光発電システムと比較すると、導入にかかるコストが安く、設置も容易です。
買取単価が高い
風力発電の電力は55円/kwhで買い取られ、固定期間は20年間と長期にわたります。
1度設置すれば手間がかからない
設置してしまえばメンテナンスの必要もあまりない上、日照に関係ないので24時間自動的に稼働します。
補助制度や税制優遇制度がある
自治体によっては導入時に、補助金が給付される場合もあります。また初年度には、特別償却など税的な優遇が受けられます。
風力発電のデメリット
一方で風力発電にもデメリットがあります。
気象状況に左右される
風力発電は何といっても自然の力を活用しているため、気象条件によって発電量が変わります。風の吹かない穏やかな気候の地域では、たくさんの収益は望めない可能性もあります。
月ごとの発電量が一定ではないため、収入についての計画が不確実なものとなります。
経年劣化へのメンテンナンスが必要
風を受けるプロペラは1日中風雨にさらされているため、経年劣化は避けられません。風力を効率的に活用できるよう、ひび割れなどに注意する必要があります。
近隣トラブルを招く恐れがある
住宅地内で風力発電を行う場合には、近隣への配慮が大切です。自宅の敷地であっても、音や振動は周囲にも影響を与えます。稼働させて見て苦情が出るようであれば、設置についての対策が求められます。
大規模にするほど収支計算が難しい
家庭用の小規模な風力発電であれば、導入コストと得られる収入のバランスは比較的良好なものとなりますが、大規模に運営しようとすると逆にコスト回収が難しくなる可能性もあります。
風力発電を本格的に行うためには運用に適した土地探しをしなければならない上、借地や購入にかかるコストが確実に回収される保証はありません。大規模にすればそれだけ発電量も増えますが、収支計算はその分不透明になります。
おわりに
風が電気エネルギーとなり、収入をもたらすのであれば何も言うことはありません。雪国などの土地の気候によっては、太陽光発電を設置するよりも有効な手段となる場合もあります。一方で気象条件に左右される風量発電では、毎月必ず一定量の電力を求めるというのは、無理があります。導入コストは比較的手ごろですが、メリットとデメリットを踏まえ、コスト回収の予測ができる範囲内で検討してみてはいかがでしょうか。
最終更新日:2019-05-11