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家の広告を見ているときや、マイホームを建てようと住宅に関する情報を集めているときに、「ツーバイフォー(2×4)」という言葉を見聞きすることがよくあります。しかし、よくふれる言葉である割に、それが何のことなのかはよく知らないという方は多いものです。
家を建てると一言で言っても、建築工法によって建物の構造や性質はさまざまです。建築工法の一つである「ツーバイフォー(2×4)」も、ツーバイフォーならではの特徴もあれば、採用するメリット・デメリットもあります。きちんと理解して、自分や家族の住まいに適したものを選べるようにしましょう。
ツーバイフォーとは?
木造の住宅を建てる際に多く用いられる工法としては、「木造軸組工法(在来工法)」「ツーバイフォー(2×4)工法」「木質パネル工法」などがあります。その一つであるツーバイフォー工法は、欧米から日本に渡ってきたもので、2インチ×4インチ(2 by 4。縦5.08cm×横10.16cm)の角材を主に用いることからこの名前がつきました。日本では「木造枠組壁工法」と呼ばれることもあります。
ツーバイフォーでは、この既製サイズの角材と合板を組み合わせて、壁や天井、床などを構成して箱状の空間を作り上げます。熟練した職人のようにすぐれた技術や経験をもつ担当者でなくても比較的対応しやすい工法で、材料や手順などをマニュアル化して大量生産しやすいとされています。
ツーバイフォーで家を建てるメリット・デメリット
柱・梁といった“線”で家を支える在来工法に対して、ツーバイフォーの住宅は、壁や天井、床といった“面”で建物を支える構造になっています。そのため、強い風や地震などの災害に対しても耐性が強く、安定度が高いとされています。
また、ツーバイフォーでは木材の隙間が少ないことから、断熱性や気密性にも優れているといった特徴を備えます。これは冷暖房効率を高めるだけでなく、耐火性能も高めることになるのです。前述のようにシステム化しやすいツーバイフォーは、品質が安定しやすく、工期が比較的短いのもメリットです。
そんないいことずくめのようにも思えるツーバイフォーですが、デメリットもあります。近年は大きな開口部を設けた住宅が人気ですが、ツーバイフォーでは大きな開口部をつくりづらいのです。“面”で構成された“箱”のような構造であるツーバイフォーで開口部を大きくするには、その“面”を大きくくりぬくことになります。そうなれば、建物の強度が低くなってしまうからです。
同じ理由で、建物の強度を保つためには壁のつくりにも一定の制約があります。そのため、将来リフォームして間取りを変えようと思っても、大きな間取りの変更が難しいということも珍しくありません。高断熱性・高気密性であるツーバイフォーの住宅では結露が生じやすく、対策を怠るとカビやダニの発生を招いてしまいます。
家を建てるなら構造ごとの特徴を知っておこう
前述の在来工法も、木造住宅で多く用いられる工法です。これは日本の伝統的な建築工法で、築数十年が経過するような古民家の多くはこの在来工法で建てられた家と考えられます。在来工法は、間取りの自由度も高く、大きな開口部を設けたり将来リフォームで間取りを大きく変えるといったことがしやすいです。
反面、きちんとした品質の建物にするためには職人などの熟練した技術が不可欠で、耐震性などの安定性を確保するためには補強の金物を用いたり、建物の基礎や壁の設計を工夫するといった対応が求められます。
このように、採用する建築工法によって建物の性質は違ってきます。加えて、ハウスメーカーによって採用できる工法が異なり、その点でも家づくりの判断に影響してきます。まずは、そうした工法ごとの特徴を理解しておくと、その後の検討を進めやすくなるでしょう。
おわりに
家づくりを考えるとき、「こんなデザインの家にしたい」「設備は新しいものを使いたい」といったようなイメージは思い浮かびやすいですが、在来工法がいいか、それともツーバイフォーがいいかといった選択肢はなかなか思い浮かばず、判断も難しいものです。
ハウスメーカーに相談するにしても、まずはどのような工法があるかを知り、それぞれの特徴を理解しておくのが、後悔しない検討のための第一歩となるでしょう。
最終更新日:2018-05-31