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「お探しの物件は軽量鉄骨、重量鉄骨どちらを使用したところでしょうか?」なんて風に不動産屋さんに聞かれることはまずありませんが、素人からすると頭に「???」が浮かぶ言葉がたくさん行き交うのが不動産屋さんですよね。
マンションのモデルルームや、戸建の住宅販売に足を運ぶとさらりと出てくる「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」という言葉ですが、その意味や違いを理解していない方が大半でしょう。そんな方のために、この記事ではその2つをわかりやすくご説明していきます。
軽量鉄骨とは?
従来の日本家屋はいうまでもなく木造住宅が主でしたが、その耐久性や生活の近代化から、現代では木造住宅よりも、より強度のある鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅が圧倒的に増え続けています。
軽量鉄骨(けいりょうてっこつ)とは、その鉄骨造の建物を建てる際に使用する鉄骨の厚さのひとつです。一般的に6mm未満のものを軽量鉄骨と呼びます。
重量鉄骨とは?
鉄骨造の建物を建てる際に使用する鉄骨の中でも、6mm以上の厚さがあるものであれば、それは重量鉄骨と呼ばれます。
太い柱と梁を組み合わせて使うことで、より強い剛性を出すことができ、それを柱梁ラーメン構造と呼びます。高層ビル建築などではこのような鉄骨を使用しています。
軽量鉄骨と重量鉄骨の違い
軽量鉄骨と重量鉄骨の特徴についてご説明しましたが、この2つの違いがその厚みだけかと言われたら当然違います。それ以外にもたくさんの違いがあるのです。
軽量鉄骨の特徴
軽量鉄骨は、まず大量に生産することが可能です。国が正式に決めた法定耐用年数は19年~27年となっています。大量に生産できる一方で、柱や梁が細いことからたくさんの本数を使用して強度を出す必要があったり、筋交いを多くする必要が生じます。
そのことにより、建築可能な間取りが制限されるという側面もあります。そのような特徴を活かすことができるのはこぶりな建築となるため、主たる使用目的は住宅や小規模な店舗となります。
ただし、空量鉄骨と比較すると建築費用が比較的安く済むというメリットを併せ持っています。
重量鉄骨の特徴
大量生産することができる軽量鉄骨にくらべ、重量鉄骨は大量生産に不向きと言われています。それは、成形に時間がかかるためですが、法定耐用年数は軽量鉄骨よりも少し長めの34年です。
軽量鉄骨とは真逆で、柱や梁が太いことから、軽量鉄骨よりも本数を少なくして骨組みをつくることができます。そのことから、軽量鉄骨ではなかなか難しい、間取りのバリエーションが豊富となります。
このような特徴を活かして、重量鉄骨は大型のマンションや高層ビルの建築に主として使われています。比較的建築費用が安く済むと説明した軽量鉄骨とくらべ、重量鉄骨は建築費用が高くなる傾向にあります。
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融資や税制に関する違い
軽量鉄骨と重量鉄骨は、その特徴だけでなく適用される税制にも違いがあります。賃貸経営と経費・税金は、切っても切り離せない関係にあります。不動産賃貸業を営む方に関係するものの一つが「減価償却費」です。
不動産経営に用いる建物のような資産は、時間の経過に伴って価値を失っていきます。これをふまえ、資産の取得に支払った費用を一定の年数で分割し、必要経費として毎年償却するというのが減価償却です。
この減価償却を何年に分割するかというのが前項でもふれた「法定耐用年数」で、国税庁が定める税制のなかで「減価償却資産の耐用年数」として示されています。
鉄骨造の建物の減価償却年数は、骨格材の肉厚が3mm以下のものは19年、3mm超4mm以下のものは27年、4mmを超えるものは34年となっています。つまり、軽量鉄骨が用いられた建物の場合は19年または27年、重量鉄骨の建物は34年ということになります。
この減価償却は、支払う税金だけでなく、金融機関から受ける融資にも関係します。多くの金融機関では、減価償却年数の残り期間を融資返済期間の基準に置いて考えます。
ということは、軽量鉄骨造の中古物件ですでに減価償却が始まっている場合、返済期間30年の融資を受けることはかなり難しいということになるのです。
軽量鉄骨と重量鉄骨の見分け方
不動産物件を購入するにあたって、その建物に使われているのが軽量鉄骨なのか、それとも重量鉄骨なのかという点は、住み心地から賃貸経営の収益まで、さまざまなところに影響が及びます。
軽量鉄骨造の建物か、重量鉄骨造の建物かということは、基本的には仲介する不動産会社などから説明を受けることができます。「書類に『軽量鉄骨造』と記載されている物件が、実は『重量鉄骨造』だった」といったこともほぼないと考えていいでしょう。
それでも念のため、軽量鉄骨と重量鉄骨を判別する方法を理解しておけば、何かのときに役に立つかもしれません。といっても建物の構造は見た目でわかることは少なく、そのスペックを目安に推察することになります。
簡易的に判別するための目安としては、「廊下や階段などを歩いてみて、揺れを感じる物件は軽量鉄骨造の物件である可能性が高い」「3階建て以上の集合住宅の大半は、重量鉄骨造の物件であると考えられる」といったものがあります。
軽量鉄骨と重量鉄骨に関するさまざまな疑問
ここまで読んで、軽量鉄骨と重量鉄骨の特徴と違いについてはおわかりいただけたのではないでしょうか。どちらにメリットやデメリットがあるというわけではなく、使用目的でどちらの鉄骨を使用するかを決めているというのが現状でしょう。
つまり、どのような建築物をつくりたいかということによって、使用する鉄骨の種類が決まり、それによって耐用年数や費用が変動するという理解をしていただけるかと思います。気になる幾つかのポイントについておさらいしましょう。
地震にはどっちが強いの?
鉄骨構造は、とても強靭な鋼材を使用して組み立てた構造なので、性能がとても優れており、木材やコンクリートと比較しようがないほどの強度を持っているので地震にはもともと強いといえます。
その中でも、冒頭に説明した鉄骨ラーメン構造をしている建物は特に耐震に優れていると言えるでしょう。といったことから、重量鉄骨を使用している建物の方がより地震には強いということがいえます。
遮音性はどちらの方が高いの?
こちらに関しても重量鉄骨が圧倒的勝利となります。重量鉄骨の場合はコンクリートの厚さを13cmとることから、同じ鉄骨住宅で比較してもやはり重量鉄骨の方が遮音性も優れているといえます。
どのようなハウスメーカーで使われているの?
すでにご検討されているハウスメーカーさんがある場合には、担当者の方に直接伺ってみましょう。詳細にどのような工夫をしているかを説明してくれると思いますし、その中でさらなる質問もできて納得行くでしょう。
その段階にない方は、こちらご紹介するハウスメーカーさんに問い合わせてみたり、住宅展示場に出向いてみてもいいかもしれません。
・積水ハウス(セキスイハウス)|住宅メーカー(ハウスメーカー)
・ヘーベルハウス | 住宅メーカー・注文住宅 | 旭化成ホームズ
・パナホーム株式会社 | 住宅・不動産・リフォーム・土地活用(ハウスメーカー)
鉄骨造の住宅のことは専門家に相談すべき
これまで述べてきたように、鉄骨には「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」がありますが、それは鉄骨の厚みによる分類です。それ以外にも、鉄骨の断面の形状で「H(形)鋼」「I(形)鋼」「「T(形)鋼」」などに分類することもあります。
そうした鉄骨を使って鉄骨造の住宅を建てる場合に採用する工法にも、さまざまな種類があります。たとえば、よく知られた「プレハブ工法(鉄骨ユニット工法)」では、工場でユニットパネルなどの溶接までを工場で済ませておき組み立てを現場で行います。
そのほかにも、木造在来工法(木造軸組工法)のように柱や梁、筋交いを用いる「ブレース工法(鉄骨軸組工法)」、柱と梁を完全に接合していて頑丈な「ラーメン工法」などがあります。
このように、鉄骨造の住宅について知ろうと思うと、その範囲は非常に多岐にわたります。理解が難しかったり判断に迷うことがあれば、専門家に相談するのが安心です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。この記事を読んで、軽量鉄骨と重量鉄骨について少しはわかるようになっていただけていれば幸いです。
特徴と違いについてご説明しましたが、実際に自分の手で住居やビルを建設しようとする方は稀かと思いますので一般人として知っておくと便利なのは、その耐用年数と使用目的の違いです。
地震大国に住んでいるからこそ、耐震の問題や住宅の強度には気をつけておきたいですよね。こちらの記事を参考に、住宅メーカーさんで詳細を聞いていただければ、より住宅に関するイメージが膨らむのではないかと思います。
最終更新日:2020-02-13