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ホームドラマや弁護士ドラマで「抵当権」という言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
往々にしてこの言葉が出るシーンはあまり明るい話題でないことが多いというイメージを持つ方が大半ではないかと思いますが、その意味を正しく知っている方はそう多くありません。
今回は、そんな「抵当権」に関して解説していきます。現状、抵当権に関してお困りの方は勿論のこと、これを機に学んでおきたいという方にも参考になると思います。
抵当権とは?
抵当権とは、家の持ち主が住宅ローンの返済に窮してしまい返済不能となってしまい金融機関がお金を回収できなくなった場合のために、担保としてその土地や建物を確保しておくことを指します。
つまり、住宅ローンを安定して支払うことができていればあまり心配する必要のない言葉ではありますが、事業の雲行きが怪しくなったり、他に大きな経済的負担が生まれると、まず考えなくてはいけなくなるものです。
抵当権抹消とは?
抵当権抹消とは、文字通り所有している不動産に設定された抵当権を消すことです。
住宅ローンの支払いが完了すれば、当然抵当権はなくなるのですが、住宅ローンを組んでいた金融機関がその手続をしてくれるわけではありません。
自分で手続きをしておかないと、そのまま抵当権がついたままになってしまい、登記上まだローンが残っているとみなされてしまい、金融機関が登記を見た時にデメリットとなりますので、住宅ローン返済が終わった時には、必ず抵当権抹消の手続きを怠らないようにしましょう。
自分では難しいという方は、費用はかかりますが、最寄りの司法書士に相談してみるといいでしょう。
抵当権抹消をしない場合に被るデメリット
抵当権抹消をしないと、どのようなデメリットを被ることになるのでしょうか。デメリットと聞くだけでもきちんと処理して、少しでも被らないようにしておきたいですよね。
売却時に不利になる
「住宅ローンを完済したのであれば、抵当権の心配はもうしなくていいじゃない!」と思われる方も多いようですが、その住宅を売却する際、もしくは新たにローンを組みたい時に、抵当権が存在したままだと非常に不利となります。
登記上で、抵当権がついた物件であれば、買い手から見た時に「まだ返済が終わっていない物件なの?」という風に見えますし、「完済しているのでご安心ください」と伝えても、書類上はまだその証明はできません。
抵当権がついていると、買い主がローンを組めないという不具合にもつながりますので、しっかりと手続きしておきましょう。
他のローンがおりにくい
住宅ローンが完済しているにも関わらず書類上の抵当権抹消を行っていないと、「登記の流用」と判断されてしまい、せっかく住宅ローンを返済し終わっていても、別のローンにその物件の登記の状態を利用しているとみなされて不利益が生じます。
信用問題にもつながることなので、早めに対処しておくに越したことはありません。
抵当権抹消手続きの方法
それでは、抵当権抹消手続きの方法をご紹介します。
1.融資金の全額を返済終了
まず、住宅ローンの返済が完了したことが大前提となります。
2.抵当権末書に必用な書類を集める
金融機関に足を運び、下記の書類を揃えましょう。
・金銭消費貸借抵当権設定契約証書」
・抵当権解除証書(登記原因証明情報)
・抵当権抹消についての委任状
・登記識別情報を入れた封筒(登記識別情報がある場合のみ)
これらが揃ったら、いよいよ手続きです。
3.抵当権抹消手続き
抵当権抹消手続きは、登記所にて行います。この手続に伴う費用はすべてご自身の負担となります。金融機関で揃えた書類を持って、抵当権抹消の手続きを担当している窓口に行けば完了です。
番外:司法書士に頼む
もし、さまざまな事情により金融機関で書類を揃えることから困難だと感じる場合には、司法書士に委託することもできます。その際には、委任状を作成し、委任手続きを踏むこととなります。
不動産売却前に抵当権抹消の手続きをしておこう
これまでご紹介したとおり、お持ちの不動産を売却する際には、必ず事前に抵当権について調べておきましょう。もし、まだ登記に抵当権が存在したままだった場合には早急に抵当権抹消手続きを行いましょう。
抵当権抹消手続きの注意点
抵当権抹消の手続きを行うにあたって、最も留意すべき点は「手続きを行う時期」です。抵当権抹消の手続き自体については、「この時期までに行わなければならない」といった期限はありません。しかし、用意する必要書類には“有効期限”があるものもあります。
住宅ローンを完済すると、金融機関から「金銭消費貸借契約書」「登記識別情報(登記済証)」など、抵当権抹消の手続きに必要な書類を受け取ることになります。これらを含めて必要な書類をそろえ、抹消手続きの際に提出しますが、こうした書類のなかには「発行日から3カ月以内のものが有効」となる書類もあるのです。
せっかくたくさんの書類をそろえたのに期限切れとあっては、再度取り寄せが必要になってしまいます。それでも再発行ができるものであればいいですが、書類のなかには再発行が不可能なものもあります。期限に問題がなくても、手続きを引き延ばしている間に書類を紛失してしまうことも考えられます。
そうなると、司法書士に相談したうえで特別な手続きをとる必要が生じ、余計な時間と費用を要することになってしまうのです。あるいは、金融機関の合併などで金融機関の名称が変わってしまうことも考えられます。
そのようなことにならないよう、住宅ローンを完済したらすみやかに抵当権抹消の段取りをつけ、必要書類を受け取ったらできる限り早い段階で手続きを行っておくのが安心です。
費用のまとめ
抵当権抹消登記の手続きは、法務局で行います。法務省の出先機関である法務局は、日本各地に所在しており、それぞれ管轄する地域が決まっています。抵当権抹消の手続きは、該当する不動産の所在地を管轄する法務局で行うことになります。どの法務局に行けばいいかということは、事前に法務局のWebサイトで確認しておきましょう。
抵当権抹消登記を申請する際には、「登録免許税」という料金がかかります。これは不動産1件につき1000円で、建物と土地の両方がある場合は不動産2件という計算となり、登録免許税は2000円ということになります。
敷地権付きの分譲マンションなどの場合、登記上の土地が複数に分かれているようなケースもあります。抵当権設定契約書の「物件の表示」の記載を確認して「敷地権の表示」が2つに分かれていたら「2件の不動産」という扱いとなります。この場合、抵当権抹消登記の手続きにかかる登録免許税は、専有部分の建物1件+土地(敷地権)2件=3000円です。
登録免許税は、法務局で収入印紙を購入するかたちで支払い、用紙に貼り付けて提出します。
また、手続きに際して、登記簿の内容を確認するために登記事項証明書の発行を受けたり、法務局で代表者事項証明書を取得したりする場合は、1通(不動産1件)につき600円の交付手数料が発生します。これらの手数料は、オンライン請求で安くなることがあります。そのほか、住民票や戸籍附票を取得する場合には、1通につき300円程度の手数料を支払います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
不動産を所有し、管理するのであれば、きちんと知っておかなくてはいけないことがたくさんありますが、抵当権そして抵当権抹消手続きはその中でもトップクラスの内容ではないかと思います。
売却が伴うようになってからでは、遅すぎて不利益が生じる場合もあります。現状どうなっているのか、まずは調べてみることから始めてもいいですね。
最終更新日:2020-03-26