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命がある以上、いつかはあの世からのお迎えが来るのだわかってはいるものの、「私はピンピンコロリ(亡くなる直前まで健康体で、突然苦しむこともなく亡くなる様子のたとえ)のつもりだから!」と楽観的に考えていませんか?
厚生労働省のデータによると、なんと65歳以上の28%はすでに認知症の予備軍だそうです。
(参考:3 高齢者の健康・福祉|平成28年版高齢社会白書(概要版) – 内閣府)
日本人の平均寿命は確実に伸びていますが、必ずしも健康寿命と一致しているわけではありません。
人生100年時代と言われている現在、ほとんどの人がピンピンコロリとはいかないのです。だからこそ、知っておきたいのが「家族信託」です。
不動産所有者が認知症になると売ることも貸すことできなくなる
もし、自宅や事務所など不動産を所有している人が認知症を患った場合、その不動産は売却も賃貸もできなくなってしまうことはご存知でしょうか?実際、ほとんどの方がこのことを知らずに大変苦労するそうです。
だからこそ、これからご説明する「家族信託」についてきちんと事前に知っておき、元気なうちに必用な手続きを済ませてしまうことを強くオススメします。
家族信託とは?
家族信託とは、一言でいうと不動産所有者の財産管理を信頼できる家族に託す契約のことを指します。
「信託」という言葉を聞くと信託銀行をイメージされる方が少なくありませんが、託す相手が家族であるところが特徴です。
現行の家族信託は平成19年に施行されたばかりですのであまり馴染みがないようですが、認知症の家族が増えてきた現代社会で、徐々に広まりつつあります。
家族信託をするメリット
圧倒的にメリットの多い家族信託ですが、どのようなメリットがあるのかご説明します。
1.家族が元気なうちに資産について整理できる
家族が体調不良になったり、最悪の場合亡くなってから、不動産をはじめとする資産についての話し合いが行われることがありますが、これはあまり好ましくありません。
所有者本人が認知症、もしくは故人となってしまってからの相続争い、といえば大体の想像がつくでしょう。
認知症などの不調により、資産が凍結される前に家族で話し合いをしておくことで、所有者の家族が自宅を適切な価格で売却して施設に入る資金に充填したり、通院費にしたり、と有効に資産を活用することができます。
2.家族が柔軟に不動産を管理できる
成年後見制度には、さまざまな負担や制約があり、このやりくりで疲弊してしまう方も少なくありません。しかし、家族信託を結んでおくことで、成年後見制度の代用として自由、そして軽負担な財産管理が可能となります。
家族信託をするデメリット
メリットも十分にある家族信託ですが、デメリットも少なからず存在します。
損益通算ができなくなってしまう場合がある
収益物件を信託としてみなした場合、年間収支上の赤字は帳消しとなります。よって、熟考してから決めないと、税務的に不利益が生じる場合があります。
家族信託は万能ではない
家族信託は、「家族である」という信用をもとに成り立ちますので、さまざまな事が可能ですが、法律上遺言状でなければ処理できないこともあります。
すべてのことを家族信託で済ませることはできませんので、より詳しく取り決めたい場合には遺言状を用意する必要が生じるでしょう。
不動産を所有するなら相続のことも考えておこう
親がもし認知症になったら…まだ親が元気なうちから考えたくない内容ではありますが、今は元気でも、いつそうでなくなるかは誰にもわかりません。
そして、いざ認知症になってしまってからでは遅いのです。だからこそ、もし親が不動産を所有している(自宅、事務所、ビルなど)場合には、前もって相続のことを考えておきましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。巷では「終活」という言葉が流行し、自分の人生の終わりの数ページについて直視する機会が増えました。
認知症を患う人も増え、またその介護にあたる家族を目にする機会も同様に増えました。そのような中で、ぽっかり忘れてしまいがちなのが、資産管理に関することです。
今回の記事は、家族信託のメリット・デメリットをほんのすこし参考までご紹介しました。もし、家族信託について詳しく知りたい!と思われた場合には、専門的な知識を持った司法書士に相談してみてくださいね。
最終更新日:2018-01-24